用語の解説から法改正情報などお役立ち情報を紹介します。
『計画された偶発性』
スタンフォード大学教育学・心理学のJ.D.クランボルツ先生が提唱した理論。
キャリアを形成するそのほとんどの要素は予期せぬ出来事や偶然の出会いによって決定されるという理論です。
先生が行ったアメリカ一般社会人を対象と調査では”18歳のときに考えていた職業に就いている人は全体の約2%に過ぎない”という結果が出ています。
キャリア(人生)は思うようにいくものではありません。
クランボルツ氏は社会的成功を収めた数百人のビジネスパーソンについてキャリアを分析しましたが、約8割の人が「自分の現在のキャリアは予期せぬ偶然によるもの」と答えているそうです。
このような研究結果から、「計画された偶発性」理論が提唱されました。
今自身の身に起きていることは何一つ無駄ではありません。
大切なのは、その偶然を最大限に活用すること、そして何かが起きるのをただ待つのではなく、自ら作り出せるよう行動すること、です。
そのためのキーワードは、次の5つ。
①好奇心
②持続性
③楽観性
④柔軟性
⑤冒険心
変化の激しい時代においては、これ、と決めてしまうのは、むしろそれ以外の可能性を排除してしまうことになります。
①~⑤の心掛けでもって自分の身に起こり得る事象を捉えてみたら思いがけない発見があるやもしれませんね。
エンプロイアビリティ(employee ability)
「雇用されうる能力」=Employ(雇用する)とAbility(能力)とを組み合わせた言葉で、就業能力、とでもいいましょうか。
終身雇用の長期雇用を前提とした能力開発ではなく、企業外でも評価される能力・・・環境の変化に素早く適応でき、転職にも耐えうる能力、を今の時代は高めなくてはなりません。
エンプロイアビリティが高い人は”転職ができる人”と言えます。
それはすなわち”雇い続けられる能力がある”ということでもあります。
会社に入れたら安心というわけにはいかなくなりました。
企業は優秀な人材が流出するのを防ぐための施策を講じ、個人はエンプロイアビリティを高める努力が求められます。
そのようなモチベーションを保ち続けるのは大変です。
やはり心から向き合える仕事をしたいものですね。
国民の祝日に関する法律
第一条は素敵です。
『自由と平和を求めてやまない日本国民は、美しい風習を育てつつ、よりよき社会、より豊かな生活を築きあげるために、ここに国民こぞつて祝い、感謝し、又は記念する日を定め、これを「国民の祝日」と名づける。』
こぞって祝うものだったんですね!
・・・それはともかく法律には「休日」という言葉で定義されているんです。
「祭日」は大辞泉によると
1.神社などで、祭りを行う日。
2.「国民の祝日」の俗称。
3.皇室で、祭典が行われる日。大祭日と小祭日がある。
4.神道で、死者の霊を祭る日。
5.物忌みをする日。日忌み。
という意味でした。
宗教行事につながりますね。
日本国憲法では、「祭日」という言葉は使わず、「休日」とされています。
明治憲法下では両方使用されていました。
賃金支払いの5原則(労基法第24条)
賃金を支払うときは、
①通貨で
②全額を
③毎月1回以上
④一定の期日に
⑤直接労働者に
という5つのルールを守らなくてはなりません。
賃金は生活を支えるものです。
従って、果物などをもらっても困りますし(①・現物支給は基本給を不当に低く据え置かれる可能性があり、原則、認められていません)、そうそう勝手に天引きをされてしまっては(②)生活が苦しくなります。
1年分をドカンともらってしまっては生活の計画が立たず、先月は10日に払われたのに今月は25日だったとなってもやりくりできませんね(③・④)。
また、ピンハネなどがあった過去の暗い歴史から、本人以外に支払ってはならない(②・⑤)とされています。
<例外>
◆通貨以外のものの支給が認められている場合
法令・労働協約に現物支給の定めがある場合
◆賃金控除が認められている場合
法令(公租公課)の定めがある場合、労使協定による場合
◆毎月1回以上、一定の期日払いでなくてよい場合
臨時に支給される賃金、賞与、査定期間が1ヶ月を超える場合の精勤手当・能率手当など
さて。
給与支給日が銀行の休業日にあたった時、前営業日に支払っているところが多いかとは思いますが、これは法律で定められているわけではなく、後でもいいんです。
しかし、月末支給の場合はできません。
例えば、年末12月31日は銀行が営業していないから、と1月1日に払ってしまったら③の毎月という部分に引っかかってしまいますよね。
現在では休日の区別なく振込ができるインターネット銀行などもあります。
ベストな方法を取ればよいと思いますが、いずれにしましても会社と従業員との約束事となりますので、就業規則に明記しておきましょう。
労務監査の時代
会計監査はよく聞きますよね。
これは、会社法で定められており、監査役を置き、貸借対照表や損益計算書などの計算書類が適法につくられているかどうかチェックすることです(会社法第436条)。
それに対し、労働関係法令が遵守できているかどうかを確認する労務監査は法で定められてはおらず、任意のものです。
任意ですので、今までは、企業が株式上場を目指す場合や労働基準監督署等の指導を避けるために行うのが主で、必要に応じて行うものでした。
しかし近年は、企業の法令遵守の意識が高まり(背景には、内部統制システムの構築があります)、企業の社会的責任が問われ、更に労使間の個別労働紛争の増加などから、日頃からきちんと法令を遵守しているのかチェックする必要が高まっています。
法令を遵守しない企業は、優秀な人材を確保することも難しく、淘汰されていくことが想定されます。
従って企業運営を支える根幹の人材を適正に活用するため、労務監査で定期的なチェックをしていくことがスタンダードとなっていくことが見込まれています。
社会保険労務士
定義は「社会保険労務士法に基づき、毎年一回、厚生労働大臣が実施する社会保険労務士試験に合格し、かつ、2年以上の実務経験のある者で、全国社会保険労務士会連合会に備える社会保険労務士名簿に登録された者」と法律により定められています。
「人事・労務の専門家」として認知されているかと思いますが、それは、労働及び社会保険に関する法令に基づいて申請書等を作成したり、その提出に関する手続を代わりに行うことを主な業務としているため、企業における人事、労務管理について把握し、相談に応じることができるからです。
特定社会保険労務士
労使間における労働関係の紛争において、裁判外紛争解決手続き制度に則った代理業務に従事することを認められた社会保険労務士のことです。
トラブルが起きた時に裁判を起こすのは、時間もお金もかかります。
裁判によらず話し合いでスピーディーに解決するために、裁判外紛争解決手続きと呼ばれる制度(ADR)があります。このADRにおいて、個別労働関係紛争解決のお手伝いをすることができるのです。
※社会保険労務士が特定社会保険労務士になるには、『厚生労働大臣が定める研修を修了』し、『「紛争解決手続代理業務試験」に合格』した後に、その旨の付記をしなければなりません。
※特定社労士制度は、平成19年4月からスタートしました。
社労士の守秘義務
社会保険労務士法第21条に、「開業社会保険労務士又は社会保険労務士法人の社員は、正当な理由がなくて、その業務に関して知り得た秘密を他に漏らし、又は盗用してはならない。
開業社会保険労務士又は社会保険労務士法人の社員でなくなつた後においても、また同様とする。」と定められています。